ビバ、フェリーニ!夢と幻想が交錯する一人の女性の精神開放映画

映画「魂のジュリエッタ」 (1965年)

■製作年:1965年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:ジュリエッタ・マシーナ、マリオ・ピス、サンドラ・ミーロ、他

映画「魂のジュリエッタ」はフェデリコ・フェリーニが妻のジュリエッタ・マシーナのために作った作品で、タイトル自体がジュリエッタの名前がついている。自分の奥さんの名前を冠した映画を作ることができたのは、広く見渡してもフェリーニくらいでしょう。

よく言われるのが「8 1/2」は、フェリーニの内面を表現し、「魂のジュリエッタ」は実妻であるジュリエッタの内面を表現した映画であると。そうした要素はあるのでしょうが、大人数の俳優やスタッフが関わる映画は共同作業なので、ストレートにそれを表現したと必ずしも言えないだろうと思います。

この映画は夫が浮気をしているのではないか?という疑念からジュリエッタの内面における存在のアイデンティティが揺らぎ、今起きていることが夢か幻想か現実なのか、その境界が曖昧となり、虚実入り乱れたジュリエッタの無意識の世界が広がっていきます。

ちなみにフェリーニは心理学者で集合的無意識を説いたユングの影響を受けていると語っています。「魂のジュリエッタ」は、多様なシンボルが登場し、まさしくその影響が色濃く反映されていると言えそうです。この演出術がさらに突き進み次回作の幻想的映画「サテリコン」へと繋がっているように感じます。

映画では何度も触れているように夢と幻想に彩られていますが、そこに神秘的、精神世界的な要素も導入されており、たとえば占星術とかペンジュラム、そして降霊術に両性具有の予言者といった具合です。

精神的な危機に落ちいったジュリエッタは、最終的にはインナーチャイルドの開放により彼女の幻覚は消えていくことになります。(この辺りも精神世界っぽい)そして夫からの自立とアイデンティティの喪失で苦しんだ彼女は、大きな屋敷から歩き始めるのですが、それは何を意味しているのか?鑑賞者に委ねられた終わり方でした。

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